今日のひとRiごと(2004年2月)

2004年02月21日
07:57 1770年、キャプテン・クックの率いるイギリス船が 現・NSW州の沖合に姿を現した。オーストラリア大陸の発 見である。新大陸発見のビッグ・ニュースに世界が沸き立 つ様子は、我々の想像では計り知れない。一方、先住民 族のアボリジニは全くの無関心を装った。長い間、海のな かに孤立して生きてきた彼らたちにとって、はるばる海を 渡ってきたのが「侵入者」だということは考えもつかなかっ たのである。この人の良さが後に悲劇を生むことになる。 ▲ 侵略者たちは次々に木をなぎ倒し、囲いを造り、家を 建てた。やがて、アボリジニたちにとっての聖地も喰い蝕 んでいった。ようやく事の重大さに気付けば、時は既に遅 し。激しい抵抗は死をもって償わされた。歩兵銃を相手 に、彼らの武器は威力を発揮せず、更に、免疫を持たな い彼らにとって、白人のもたらした天然痘や結核などの伝 染病は致命的であった。30万人余りの人口は百年足らず で半減し、20世紀に入ると6万人台まで激減したのであ る。▲ 現在、アボリジニは都市部に住む人たちと、遠隔 地に住む人たちとに大別される。前者は、白人たちと共存 していこうとする立場、後者は白人の保護から脱却し、自 分たちだけの世界を築こうとする立場である。▲ ここで 私のルポが登場する。オーストラリアの税金は高い。高福 祉を誇る国家でもあるが、アボリジニを保護する税金も徴 収されているという噂である。この税金で養護されるアボ リジニの実体は、「仕事もしないで一日中飲んだくれてい る」といった話をよく聞かされた。いずれにせよ、悠々とも いえる時間を、そして自然と共に生きてきた生活や文化を 失ってしまった代償は大きい。▲ 大航海時代に始まった 帝国支配。決して日本人としても無視できない問題であ る。






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